今日、20日ぶりに家に戻ってきました。
家に戻ってきたら、いきなりお母さんから、
「綾音、あなた、だいぶ大人になった感じじゃない?」
と言われました。
確かに自分でもちょっと大人になったかな、代表チームに参加してそう思いました。
でもちょっと別の意味でも大人になったかも…
このお話、お母さんが知っちゃうとびっくりしてひっくり返っちゃうかもしれないから、とりあえず…
私たちは成田から佐多舞に戻らずに、Woody BELL'Zの北見監督の家に向かいました。
もちろん成田での会見が終わった時点で解散ですから、直接佐多舞に戻ってもよかったのです。
実際に波多野さんや加藤さん、森井さんはそのまま佐多舞に戻ってしまいました。
でも私は最後にしなければならないことがありました。それが終わらない限り、私の欧州遠征は終わらない、そんな気がしました。
北見に向かうバスの中で、最初の頃こそおしゃべりに興じていた私たちも、北見に近づく内に2つの集団に分かれてしまいました。
1つは疲れからか寝てしまったグループ。Woody BELL'Zのスタッフはみんなそんな感じでした。
そしてもう1つは、落ち着きなくあたりを見渡したり、下を向いたり、とにかく普段の表情とは違う女の子たちの集団です。
それは佐野倉さんと安達さん… そして何を隠そう、私もその1人でした。
私たち3人は恐らく、みんな同じ目的を持っていると思います。
1つは北見監督にお礼をいうこと。
そしてもう1つは…
北見監督に自分の想いを伝えること。
その結果…
もしかしたら、自分が将来好きになった人のために守ってきたものを、北見監督に捧げることになるかもしれません。
安達さんには想い人がいるようです。だけど、その想い人がいなくなってから早くも8年が経ち、その彼はもしかしたら安達さんを忘れているのかもしれません。そんな時に北見監督の優しさに触れてしまったのです。
佐野倉さんはいつも孤高の存在でした。佐野倉さんは結構人見知りが激しく、実際横山監督ともあまりそりがあわない感じでした。でも代表チームで北見監督に出会い、北見監督のスタイルに心酔してしまったようです。そしてそれがついには恋愛感情に発展してしまった、らしいのです。
そして3人の共通点、それは…
まだ男を知らない、バージンであること…
あの冷静沈着な佐野倉さんですら、何だか不安そうな表情をしていました。
北見駅に着いた後、まず朝日奈さんと佐倉さん、橘さんが自宅に帰っていきました。
あとは八重さんと涼子さんだけです。
でも2人とも北見家に泊まることに決めていたようです。
涼子さんはROOMMATESの私たちを残して家に戻れないと言い、八重さんは自宅に帰ってもつまらないから、ということを言いました。
…実は八重さんの家と北見監督の家は、向かいになっているんだそうです。
私たちはタクシーに分乗して、北見家に向かいました。
成田で食事をとったので、簡単に食べてから、リビングで話を始めます。
でもちょっと話が上滑り気味。私たちはこのあと起こるであろうことを想像して胸をドキドキさせていますし、八重さんや涼子さんもそれを知っているので、それほど自分から話しかけてきません。
そのうち安達さんが強張った表情で監督の部屋に入りました。
30分くらい経ったでしょうか、安達さんが放心した表情で部屋から出てきました。
そして、「桂木さん、次、あなたの番だって」
そう言って座り込みました。
何があったのかな?
もしかして、安達さん、監督にあげちゃった、のかな?
凄く不安な気持ちのまま、私は監督の部屋に入りました。
「綾音か。まあ入りな」
監督にそう言われて、強張った表情のまま監督の近くに来ました。
「ちょっと顔が引きつってるな。もしかして、俺にバージンを奪われると思ってない?」
監督が苦笑いしながら聞きました。確かに「バージンキラー」と北見監督が言われていることは知っています。
さすがに誤魔化し切れないので、正直にその通りです、と応えました。
「そっか…」
北見監督はそう言うと、まず私に服を脱いで床にうつぶせに錬るように指示しました。
ビックリしました。
まさか、いきなりエッチなことをしようとするのか…
でも、私は北見監督の言葉に従いました。
服を脱いで、下着姿を北見監督に見せます。
さすがに北見監督が見ています。
私はそのまま床にうつぶせに寝ました。
そしてその上に北見監督がまたがってきました。
そして…
「あっ…」
私のその声ととともに、北見監督の「ショー」が始まりました。
北見監督は私の身体をしっかりと揉みほぐします。
恐らくこんな思いをしたのは初めてなんじゃないかな…
すっごく気持ちいい!
なんて言うか…
北見監督は結構強くマッサージしてくれます。安達さんを始め、いろんな人から受けているマッサージとは異質のものです。
でもそれでいて、北見監督の指先から力強さと同時に、暖かさも伝わってきます。体温のじゃなくて、「綾音の身体がもっといいコンディションになれるように」という想いが伝わってきます。
最初は背中や肩を集中的にしていましたけど、そのうち足首やすね、太股へとマッサージの場所を変えてきました。
太股の時には、恐らく早い段階でしていたら逃げていたと思います。
だって…
異性に触られるのいやでしょう? 一番男の子が興味を持っている部分が近くにあって…
でも…
その時私は、全く逃げようとは思いませんでした。
北見監督の指使い、全く揺るぎがありませんでした。
本当に一心不乱に私の身体を解すんだ、そういう信念を持っているように感じました。
それに…
そうなったらそうなったで、それでもいいや、私の中でそういう気持ちが芽生えていました。
「よし、終わり」
北見監督はそう言って私の上から離れました。
「綾音、だいぶ身体が軽くなった気がしないかい?」
私は身体を起こしてチョッと身体を動かしてみます。さすがに身体が軽いです。
こんな経験、初めてです。
そして… 気持ちもだいぶ楽になったようでした。
私は監督の隣に、下着姿のまま座りました。
そして、北見監督に、代表チームでのお礼と、
…私の素直な気持ちを伝えました。
別に付き合って欲しい、とは言えません。
恐らく八重さんと付き合うのかな、そんなことも考えています。
でも…
1回だけでもいい、私に北見監督が欲しい。
ここで、監督にバージンを捧げても、後悔しない。
北見監督は私の話を聞いたあと、しばらく考えてから、
「綾音、それじゃ俺の上にと向い合せに座れるか」
そう言ってきました。
私は首を縦に振ってから、ベッドの縁に座っている北見監督の上に、向い合せに座りました。
その時、気がつきました。
下着越しに、監督の「男」の部分が感じ取れました。
恐らく… そこは私に入りたくてしかたがない、という風に大きくなっていました。
そして… 監督は私を優しく抱きしめました。
それほど大きくない胸が監督の胸で押しつぶされ、監督の「男」が私にさらに押し付けられます。
気がつくと… 私の「女」の部分も反応しはじめていました。
そして監督は私のおでこにキスをしました。
「綾音」
優しく監督が呼びかけました。
「はい」
「今は綾音の思いを叶えることは出来ない。さすがにライバルチームの選手と監督がセックスしたら、シャレにならないだろ?」
確かにその通りです。私は首を縦に振りました。
「大会が終わって、1人の男と女に戻った時、それでもまだ俺のことを好きだと思えたら、その時はちゃんとその想いを叶えてあげたいと思う」
「はい」
「だけど忘れないで欲しいけど… 俺には大事に思っている人がいる。だから申し訳ないけど、綾音の想いを叶えられるのは1回だけ」
「はい」
やはり北見監督は想っている人がいました。恐らく八重さんなんでしょうね。
「それと…」
「何ですか?」
「1つだけ話しておくけど、その1回、俺はちゃんとした形で綾音の想いに応えたい。だから、その時だけは綾音の恋人のつもりで接する。だから…」
「だから?」
「ちゃんと綾音にセックスを教える。避妊しないで、綾音の中に俺の想いを植え付けたい。だから、それだけはちゃんと覚えて欲しい」
北見監督は1つのことを手を抜いたりせずにちゃんとする人なのは、さっきのマッサージのことを考えても明らかです。その人がセックスをちゃんと教える、と言うのですから、半端な形ではなく、本気でセックスをしてくるんだと思いました。
「はい」
私は覚悟を決めました。
「最後に1つ。もっと自分を磨いて欲しい。そうしたら、絶対に綾音のことをちゃんと見てくれる男性が見つかると思うよ。さしあたりは…」
「さしあたりは?」
「今回の代表の悔しさを忘れずに、一生懸命頑張って、次に代表に選ばれた時にレギュラーと言われても文句のつけられない選手になって欲しい」
「はい!」
私にとって、次の目標が見つかりました。
その目標に向かって頑張って、今度こそ北見監督も振り向いてくれる選手になろうと思います。
「今日は本当にありがとうございました」
「うん、これからも頑張ろうな」
「はい。失礼します」
私はそう言って部屋を出ていきました。
あとで聞いてみたら、安達さんも佐野倉さんも、私と同じことを言われたそうです。
そして2人とも、そのつもりでいます。
私は思いました。
Woody BELL'Zのスタッフも北見監督に思いを寄せている女の子が多いと聞きます。
恐らく北見監督はその子たちとも大会が終わってから、と言っているに違いありません。
だから、今はとにかくサッカーを一生懸命頑張って、北見監督から認められる選手になれればいいと思っています。
そして大会が終わったあと、みんないい想い出ができるといいですね。
最後になりますが…
今日北見監督と一緒に寝たのは私でした。
北見監督にしてみれば例の件があったので、最後に私にいい思いをさせてあげよう、と思ったようです。
確かにいい思いをさせていただきました。
何といっても、北見監督、ベッドの中でも暖かく接してくれてたから…
もちろんセックスはなし。でもセックスしなくて、心が満ち足りる思いってできるんだな、って、なんか不思議な感じになりました。
もちろん、こんな話、間違ってもお母さんには出来ません。
それでは次は5日からの合宿、一生懸命頑張っていきたいです。